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【主張】中小企業の価格転嫁 賃上げの原資確保に欠かせない
今月は政府が定める「価格交渉促進月間」。これは毎年3月と9月に実施され、発注側企業と受注側企業との価格交渉を促進することを目的としている。
今回の焦点は、原材料やエネルギーの高騰分を、受注側の中小企業が取引価格に転嫁し、賃上げの原資を確保できるようにすることだ。政府は発注側企業への働き掛けを強め、中小企業の価格転嫁を後押ししてもらいたい。
既に政府は、さまざまな取り組みを進めている。
公正取引委員会は昨年6月から12月にかけて緊急調査を実施し、下請け企業と協議しないまま取引価格を据え置いていたとして、13の企業・団体を公表し、改善を要請した。そのほかにも、値上げ協議に応じないなどの行為が認められた4030社に注意喚起の文書を送付した。
また経済産業省は今月から、受注側の中小企業約30万社に調査票を送付して価格転嫁の実態を把握するほか、約2000社に対して「下請Gメン(取引調査員)」による重点的なヒアリングを実施する。
昨年の中小企業庁の調査によると、コスト上昇分を価格に転嫁できない中小企業は2割に上る。受注側の立場の弱さにつけ込んで発注側が適正な価格転嫁を拒むことがないよう、政府は監視に努め、必要に応じて法令に基づく「指導・助言」などに取り組むべきである。
公明党は、中小企業が価格転嫁できる環境づくりを推進してきた。
2017年に約80人でスタートした「下請Gメン」の増員を訴え、今年1月には300人体制に強化された。また、原材料高に見合う価格転嫁を大企業に約束させる「パートナーシップ構築宣言」の導入・拡大を進め、2月末時点で1万8930社が宣言している。
2月6日の政府・与党連絡会議で山口那津男代表は、中小企業が価格転嫁できる環境整備を改めて政府に求めた。雇用の7割を占める中小企業は日本経済の屋台骨であり、しっかり支える必要がある。